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台湾企業がEMS分野を独占できる本当の理由

2016/09/16

ems

台湾企業は隠れた名騎手です。

表立って「僕たちは台湾企業だよ!」と声高らかに叫ぶ台湾企業はほとんどありませんが、実は「目に見えないところ」で日頃お世話になっていることがしばしばあります。

特にEMS分野。

EMSとは略称で、正しくは「Electronics Manufacturing Servise」を意味します。

簡単にいえば「電子機器の受託生産事業屋」さんです。

要は、「IphoneやAndroidの機種を、アップルやグーグルの代わりに組み立ててあげる」仕事を意味します。

 

もっと簡単にいえば、EMSとは「組み立て代行屋さん」ですね。

 

実はこのEMS企業のほとんどが台湾企業によって占められているのです。

なぜ人口2000万人超の小さな島国である台湾にそれができるのか?

今回その秘密について迫ってみたいと思います。

世界のEMS市場規模は約33兆円

EMS市場だけで約33兆円もあります(2015年)。

これはとてつもなくバカでかい数字です。例えばTVでお馴染みの液晶パネルでも、市場規模は世界で10兆円程度。

全ての家にあるテレビの総額の3倍を上回る、恐ろしいほどの大市場なんです。

EMS市場で一番製造されているのは、いうまでもなく「スマートフォン」ですが、それに加えてタブレットPCTの組み立てなども手がけており、まさにここ10年程度で急成長した市場なのです。

EMS企業の売上高ランキングで、1位〜10位中8社が台湾企業

EMS企業で最も有名なのが、鴻海精密工業(略してホンハイ)ですね。2016年には日本が誇る家電メーカーのSHARPを買収したことで有名になりました。

実はこのホンハイが、EMS市場33兆円のうちの4割強を占めているのです。もちろん売上高ランキングでは堂々の1位。

順にEMSの企業の売上高ランキングを見ていきましょう。

 

EMSの企業 売上高ランキング(2015年度)

1位:鴻海精密工業(台湾) 14兆7,910兆円

2位:ペガトロン(台湾)  4兆52億円

3位:クワンタコンピュータ(台湾)  3兆3,239億円

4位:コンパル(台湾)  2兆7,961億円

5位:フレックス(シンガポール)  2兆7,716億円

6位:ウィストロン(台湾):  2兆568億円

7位:ジェイビルサーキット(アメリカ)  1兆8,973億円

8位:インベンテック(台湾)  1兆3,050億円

9位:ASE(台湾)  9,348億円

10位:ライトン(台湾)  7,158億円

 

なんと、1位〜10位中、8社がランクインしています!台湾企業だけで、全体の8割以上の売上高を占めていることになりますね。

先ほども触れましたが、なぜ人口2000万人強の小さな島国が、これほどEMS事業に特化して大成長を遂げることができたのか?

その裏側について、以下で解説していきたいと思います。

 

台湾企業がEMS市場を独占している本当の理由

1.台湾企業は元来、「表に出ない」勝負が非常に得意

台湾は、国連において正式に国家として認められていません。

国連はもともと、戦後〜1971年まで「台湾(中華民国)が唯一の中国としての国家」としてきましたが、1971年に中華人民共和国(すなわち中国本土)を唯一の中国として承認するに至った経緯があります。

それ以降、台湾は「国家」ではなくなりました。日本政府も台湾という「国」が存在していることを否定し続けています。

それでも日本人は台湾へ観光に行くし、実際のところは台湾をひとつの国として認めてはいるわけですが、「国際社会の建前上」は台湾は国として認識されていないのです。

ゆえに台湾は、「自分たちは台湾企業だ!」と表立って商売をしにくい環境にある。

裏を返せば、「表に出ないで、隠れてコソコソ商売をする」のが得意なのです。

台湾は九州に毛が生えた程度の小さな島国ですから、どうしても他国で商売をしなければGDPが伸びない構造になっています。

それゆえに、「コソコソ商売」が彼らの得意技です。

もちろん、台湾人は真面目な人が多いですから、コソコソ商売とはいえ「小汚い」「ヤクザな」商売は一切しません。

そうではなく、「台湾企業という看板」を見せない仕事の仕方が得意なんです。

2.プラスチック製造からガラケー製造代行、そしてスマホ・タブレット組み立て屋へ

台湾企業の元々の強みは「プラスチック製造」と「半導体」です。この2つは今でも台湾産業の中心的柱にあります。

どちらにしても、結局は最終製品ではなく、製品の途中段階にあるものばかり。例えば半導体やICチップはPCやスマホの中に隠れていますよね?プラスチックもプラスチックで、パソコンの(筐体)にはなりますが、ここでも「企業名」は表に出てこないのです。

このように、「台湾企業の名前が表に出てこない」ところで、台湾企業は業績を伸ばしてきたのです。

これはひとえに、「台湾が国際社会において国家として認められてこなかった」がゆえの苦肉の策でもあります。

もともと台湾人は非常に商売が上手。2000万人強の人口のうち、そのほとんどが起業家思考であり、個人商店を持ってこそはじめて一人前の人間になれるという価値観を持っています。

「商売上手」でありながらも「国際的には孤立した存在」。このアンバランスなふたつのベクトルを上手に融合させたビジネスモデルこそが、EMSという「隠れ商売」なのです。

3.EMS以外の分野でも台湾企業が「隠れた」名騎手であるケースが多い

例えば音楽市場。

中国は人口13億人であり、これだけの数の人が居るわけですから音楽市場は非常に巨大です。もっともCDや音楽配信は、海賊版と違法ダウンロードの嵐ですから、最初から儲かる可能性は低い。要は「ライブ収入」ですね。

13億人を相手にすれば、毎日コンサートを開いても歌手一人の体では到底持ちません(笑)しかしそれくらいライブ収入では莫大な額を稼ぐことができる。

ここで特筆すべきは、中華圏のポップスや演歌など、あらゆる流行歌の版権を握っているのが台湾企業なのです!

台湾企業がすごいのは、海賊版や違法ダウンロードについては見逃すものの、例えば中国でもっとも大きい動画共有サイトである「youku」あたりに対しては、しっかりと著作権使用料を請求しています。

youkuは、中国人が政府の介入でyoutubeを見れない影響から中国国内で使用されている「超巨大動画共有サイト」。ある意味国を代表するサイトですから、違法アップロードはさすがに取り締まらざるを得ないのです。

youkuにアップロードされている動画のほとんどが「無許可」のものだったので、台湾の音楽版権企業はビシバシとyoukuを叩きのめし、著作権使用料を獲得します。

そのおかげで、youkuは、中国第2の動画共有サイトの「土豆(ポテト)」と合併せざるを得なくなりました。キャッシュレスになってしまったのです。

話はそれましたが、この例から分かることは、台湾企業は「目に見えない版権」に目をつけ、中国の大市場で戦っているのです。歌っている歌手は中国本土の人が多いですが、作詞家・作曲家・そして音楽出版社は台湾企業。

何ともかゆいところに手が届く、ビジネスセンスに長けた発想力ですね。台湾人には本当に頭が上がりません。

 

まとめ

このように、EMSのみならず音楽市場、さらにはアニメ関連に至るまで、あらゆるところで台湾企業は「顔出しNG」で商売してきたことが分かります。

国が国として認められない不幸を背負いながらも、逆にその「国際的孤立」というデメリットをメリット・強みに変える勇ましさ。

台湾企業の動向には、ますます目が離せませんね。

 

 

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